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UX Hong Kong 2012 参加報告 Part 1

2012年2月23日
UXエバンジェリスト 金山

先週末(2012年2月17日~18日)、香港で開催された UX Hong Kong 2012に、私(金山)と弊社UX本部International Business Managerのフォン・フランシスの2名で参加してまいりました。

UX Hong Kong 2012の概要

UX Hong Kongは2011年が初開催で今回で2回目となる国際的なUXイベントです。約180名の参加者は、香港在住の方以外にも近隣アジア諸国(中国、シンガポール、台湾、インド、日本...)や欧米、南アフリカからも参加されており、国際色豊かなイベントでした。

初日は、複数のスピーカーによるプレゼン、アジアのUXに関するパネル、テーマ別のラウンドテーブル(全員参加のグループディスカッション)が行われました。
2日目は、3トラックに分かれてワークショップが行われ、より具体的な内容を学び、議論する場が提供されました。

参加報告 Part 1では、初日のプレゼンついてご報告いたします。

Lou Rosenfeld (Lou Rosenfeld Consulting & Rosenfeld Media) - Going Beyond User Research

Rosenfeld氏はUX関連書籍の出版で有名なRosenfeld Media出版を立ち上げた方で、色々なUXイベントでもスポンサーになっています。UX Hong Kong 2012 スピーカーのトップバッターとして登場です。
「同じ会社内でも色々な部署でそれぞれの観点で(ユーザに関する)調査を行っているので、調査の違いを把握して効果的に統合すべき」とのアドバイスがありました。定量的なデータ、定性的なデータを相互補完的に利用することでより良いUXが実現できる例として、アクセスログから抜出した検索キーワードに対応したコンテンツを補ったり、観察から分かったユーザの行動パターンをアクセスデータで裏付ける、と言ったことがあげられていました。

Tomer Sharon (Google) - Getting stakeholder buy-in for user experience research projects

Sharon氏はGoogleのユーザリサーチャーです。近刊の"It's Our Research: Getting Stakeholder Buy-in for User Experience Research Projects"についてお話しされました。"It's Our Research" と言うサイトでインタビュービデオを参照することができます。Case Studiesの中で、弊社リサーチャーの"Persuading large companies that 5 is enough"と言う事例も紹介されています。

Bas Raijmakers (STBY and Reach)- Design Research - Thinking through making

Geke van Dijk (STBY and Reach) - Service Design - Co-production at the moment of truth

Raijmakers氏とDijk氏は、ロンドンとアムステルダムを拠点とするSTBY社でサービスイノベーションのためのデザイン調査を行っています。Thinking through making の考え方として、まず調査協力者のために考える助けになる何かを作り、協力者にも作ってもらい、一緒に考え・協力して何かを作るステップを踏むとのことでした。最後は、調査者が考えをまとめるために、ビジュアル化した成果物を作成して調査結果とするそうです。

サービスデザインはとてもホットな領域になっています。デザイン調査をしっかり行い、生活の中での人々の真のニーズを探り当てることがとても重要になっていくことを強く感じたプレゼンでした。

Whitney Hess (Pleasure & Pain) - Design Principles: The Philosophy of UX

Hess氏は「UXとはどのように人を扱う(もてなす)かについての哲学を確立することである」と定義づけていました。ビジュアルデザインの原則として、「コントラスト、強調、多様性、バランス、均整、繰り返し、動き、質感、調和、統一」をあげつつ、「良いデザイン=良い体験」とは限らないので、良い体験をデザインするための原則を示していました。

  1. その人のやり方を邪魔しない
  2. ニーズにマッチした階層を創る
  3. 混乱を制限する
  4. 情報をはっきりを提示する
  5. 道しるべと手がかりを提供する
  6. 文脈を提供する
  7. 適切に制約を設ける
  8. やり直しできるようにする
  9. フィードバックを提供する
  10. 良い第一印象を持ってもらう

Whitney Quesenbery (WQUsability) - Storytelling for UX

Quesenbery氏は元UPA Presidentであり、『Storytelling for User Experience』の共著者の一人です。和訳本も出版されています。ユーザ調査の結果を効果的に伝える手段として「ストーリテリング」を提唱されていました。

UX in Asia

アジア諸国のUX事情について、以下の4ヶ国からプレゼンがありました。

各国のUXの歴史や近況(どのように盛り上がってきているか)が紹介され、これからはアジア諸国でもUX関連プロジェクトがどんどん進行して行くとの勢いを感じました。

Michael de Regt (Philips) - Tell and Sell the UX story

グローバル企業Phillips社のRegt氏が、グローバルな製品開発に対してどのように香港市場に対して取組んでいるか紹介がありました。UXのステークホルダーを明確にした後、誰に対してどんな価値を訴求していくのか、何が印象に残って他の人にも口コミで伝えてもらえるのかなど、プロトタイピングを重ねながら色々な意見を統合して進めて行くとのことです。

Itamar Medeiros (Autodesk) - Creating Creativity

上海のAutodesk社での取組みについて、以下の4つに分けて説明がありました。

上記プレゼン以外の内容は、参加報告 Part 2 でご紹介いたします。