検索結果から考えるUIデザインとコミュニケーションの関係
少し前になりますが、『検索をナビゲーションに改変する』という記事を拝見しました。
この記事の後半では、大型小売店コストコのウェブサイト上で"Television"で検索すると、検索結果としてTVカテゴリのページが出てくることを挙げて、ユーザーの検索キーワードが一義的で、カテゴリーとぴったり一致しているときには、彼らを通常のSERP(筆者註:検索結果ページ)からカテゴリーページへリダイレクトすべき
と述べています(同ページの趣旨は別のところにあるのですが、ここでは触れません)。
私もこうした策には賛成です。検索結果ページは点の集まりですから、漠然とした検索語を入れた(おそらくまだ特定のメーカー/機種に決めていない)ユーザに対しては、検索結果ではなくカテゴリページのような全体像を見せることが有用でしょう。
どういうコミュニケーションを実現したいのかを考える
こうしたことは別にサイトに限った話ではなく、例えば電器店に行って「最近のテレビってどんなものがあるんですか?」と店員に質問し、ざっと説明を受ける、それと似たようなコミュニケーションだと思います。さらに電器店では、説明を受けて、こちらの要望を店員に伝え、店員がそれに応じた商品をいくつか案内するというフローがあるかと思いますが、コストコでは価格別、メーカー別、インチ別などから機種を絞り込めるようにすることで、擬似的にこのコミュニケーションを実現していると言えるかもしれません。
ウェブサイトで何を実現するかを考える際、時に最終形としてのユーザインターフェースに目が向いてしまうことがあるかもしれません。しかし、まず現実で考えるならばどういうコミュニケーションなのかを考え、そこからそれに適したユーザインターフェースを模索してみる、ということが良いサイトを実現するひとつの方策になると思います(ただ、一方で現実の制約にソフトウェアを縛ってしまうことにもなり得るので注意が必要ではありますが)
Amazonの的確な回答
ちなみに、先の記事の前半では、検索で欲しいものが見つけられなかった例が紹介されています。
あるユーザーが娘さんへのプレゼントとして、頑丈だけど女の子らしい携帯電話ケースを買おうとしていた。彼女はAmazon.com上で、「ピンク色で耐衝撃性のあるiPhone 5カバー」といった検索キーワードを使って、商品データベースを手当たり次第に漁った。
このキーワードは我々がその週に見た最悪のものというわけではない。けれども、今回の事例でそのユーザーは希望するものを1つも見つけられなかった。
こちらの記事は(英文記事の翻訳記事のため)Amazon.comでの話をしているのですが、試しに日本のAmazonで「ピンク色で耐衝撃性のあるiPhone 5カバー」で検索してどういう結果になるか見てみました。
結果ではぴったりの商品は見つけられなかったのですが、写真のように検索語のうち「ピンク色」「耐衝撃性」だけに絞った検索結果が出ており、「ピンク色で衝撃に強いカバーはあるけど、iPhone5対応のものはない」ことがわかります(Amazonほどの規模のストアであれば、そういうものはまだ出てないのかと解釈することも出来るでしょう)。
「こういうものが欲しいんですけどないですか?」⇒「ぴったりはないけど、これならありますよ」というコミュニケーションは、電器店でもよくあるやり取りだと思いますが、このAmazonの的確な回答は、Amazon内でそうしたコミュニケーションをきちんと考えている優秀な"店員"がいることを思い出させてくれます。
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