Smart Communication Design Company
ホーム > ナレッジ > Blog > UX Blog > 2011年11月 > User Friendly 2011 (蘇州、中国)参加報告

User Friendly 2011 (蘇州、中国)参加報告

2011年11月25日
UXエバンジェリスト 金山

2011年11月11日~13日に中国の蘇州でUser Friendly 2011が開催され、弊社から私(金山)と彭志春(ほうししゅん)の2名で参加してまいりました。彭は母国語である中国語を駆使してより深く情報収集し、弊社ウェブサイトのコラムで報告しておりますので、そちらも併せてご覧ください。

蘇州

上海から電車で1時間もかからない距離に位置する蘇州は、世界遺産に登録される風光明媚な土地です。近年、開発が急速に進んでおり、整備された道路沿いにオフィスビルと高級マンションが立ち並び、勢いが感じられる都市です。イベント会場は、湖を臨む「苏州文化艺术中心(Suzhou Culture and Arts Centre)」で行われました。

User Friendly とは

User Friendly は、2004年から毎年11月第2週の金・土・日に開催されている中国最大のUXイベントです。今年のテーマは「Design for Social Change」でした。800名を超える参加者が、午前のキーノート、午後のワークショップ(10会場)で熱心に学習していました。

キーノート

Yao Yingjia氏(Lenovo社 副社長) は、「Creativity, Innovation and Happy User Experience」とのタイトルで、Lenovo社内のDesign & UXチームの協力体制について説明がありました。世界に広がるチームが連携し、製品開発を通して、人・組織・業界・社会が幸せになるようなイノベーションをデザインして行くとの大きなビジョンが示されました。
P.J. Stappers (Pieter Jan)氏(TU Delft教授)は、「Design for and with people」とのタイトルでデザインの歴史について振り返りがあり、すべてがサービスデザインとして統合されてきていると説明がありました。優れたUXの実現には、ユーザと専門家が協力してデザインする取り組みが重要との提言もありました。
UPA2011カンファレンスでも登壇していたPaul Adams氏(Facebook社)が、「How our social circles influence what we do, where we go and how we think」とのタイトルで、本カンファレンスでも話していました。人と人のつながりの重要性についてはどの国でも納得できる内容です。
Donghoon Chang氏(Samsung副社長)は、「Design for Social Experience Innovation」とのタイトルで、今後2年を見据えたメガトレンドを5つ提示していました。ソーシャル、クラウドの他、インテリジェントオブジェクト(例えば、生活パターンに合わせて室温を自動調節する)や音声・ジェスチャーによるコントロールなど、テクノロージーが我々の生活の中でどのように使われて役立つか、イメージビデオで分かりやすく解説されていました。そして最後に、環境問題にも触れ、エコ社会に向けた取り組みが紹介されていました。

ワークショップ

私は英語で行われたワークショップに参加しました。1つは「Design for the Ideal Dining Experience」で、レストランの体験をオーナー、シェフ、スタッフ、顧客の4つの役割に分かれてグループ毎にデザインするものでした。個性的なアイデアを出し合いながら、1つのコンセプトに絞り、デザインしたサービスをビジュアルに表現するところまでを短時間のグループワークとして行いました。誰もが体験を持つ食事がテーマだったので、かなり白熱したアイデア出しが行え、とても有意義な時間でした。
もう1つは「The Zen of UX」です。UXのエッセンスとして利用者の感情に傾注し、利用シナリオの中でどのように感じてもらえるか考え、デザインして行きました。ペアとなった相手にインタビューを進め、相手が望むプレゼントを考えると言う課題です。最初は、「空き時間は何をして過ごしますか?」と日常と好みを知るに留まっていましたが、「今の生活に満足していますか?」との質問をきっかけに不満が噴出し、「本当はこんなことをやりたい」と、感情の核心に触れることができた瞬間がありました。真の要望を聞き出せているかどうかの大事さを感じた瞬間でもありました。

イベント全体を通して中国UX市場の勢いを感じました。2年前に参加した時よりも、さらにパワーアップしています。日本のUX市場ももっと活性化させたいと、改めて感じました。