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UPA2011 (Atlanta) 参加報告

2011年9月9日
UXエバンジェリスト 金山

UPA (Usability Professionals' Association) は、ユーザビリティの考え方と手法を世界に広めることを目的に、ユーザビリティ専門家の団体として20年前に米国で設立されました。今では、日本を含む44ヶ国にUPA支部が展開され、より国際的な団体に成長しています。対象領域もユーザビリティからUX(User Experience)全般をカバーするようにシフトしてきています。弊社はUPAのBronze SponsorとしてUPAの活動を支援しています。
年1回開催される国際カンファレンスは、UPAの活動の中でも中心的なものです。開催地は北米が中心でしたが、昨年はドイツのミュンヘンで開催されました。今回、6月21日〜24日に米国ジョージア州アトランタで開催されたUPA2011に参加してきましたので、その一部をご紹介いたします。

カンファレンステーマの変遇

毎年のカンファレンステーマを見ているだけでも、UX業界の大きなトレンドが分かります。2005年「Bridging Cultures」、2006年「Usability Through Storytelling」、2007年「 Patterns: Blueprints for Usability」、2008年「The Many Faces of User Experience」、2009年「Bringing Usability to Life」、2010年「Embracing Cultural Diversity」。パターンや物語を駆使したり、様々な視点からユーザビリティやUXを考えたりすることで、各種手法の効率化や人から人への伝わりやすさを考慮しようとしています。その中でも、文化の違いは避けて通れない要素のようで、繰り返しテーマアップされています。今年のテーマは「Designing for Social Change」で、社会的に影響を及ぼす取組みや考え方が取り上げられていました。Facebook社のGlobal Brand Experience Manager であるPaul Adams氏がキーノートスピーカーとして登壇し、「人間は人と人のつながりの中で生きている。強いつながり・弱いつながり・一時的なつながりなどがあり、お互いに影響しあって生きている。ウェブは、それらの人のつながりを意識して構築されるべきである。」と言ったスピーチがありました。詳しくは弊社メンバーの英文コラム (UPA 2011: Designing for the Social Web)でもご紹介していますのでご覧ください。

ここ数年のUPAの全体的な傾向としてあげられるのが、専門家領域としての確立を目指した認定制度やそれを支える教育への取組みです。

Usability Fundamentals

2年前から、初学者向けに明示されたセッションを受講することで「認定証」が発行されるようになっています。著名な講師から学び、参加者から刺激を受け、業界でのネットワークを構築できるので、参加した人にとっては貴重な時間になっているはずです。初参加の人にも優しいそのムードは、弊社メンバーのコラムでも報告していますので、そちらもご覧ください。UPA2011参加報告 

Certification (専門家認定制度)

UPAのCertification担当DirectorであるRonnie Battista氏がCertificationのWorkshop を行なっていました。 UPAとして国際的なCertificationを目指しており、日本のHCD専門家認定制度を始めとして、ドイツでのUsability/UX専門家の認定制度などで整備が進んでいるCertificationを参考にしつつ、議論が進んでいるところです。

UBoK (Usability Body of Knowledge)

Certificationを支える基本的な知識体型として、UBoK (Usability Body of Knowledge) も整備されてきています。国際的な視野で学び、活動したい方は必見です。 UBoKで学んだ基礎知識を活用するための実践的な知識として、Nigel Bevan博士が、目的と状況に合わせてユーザビリティ手法を選択するためのツール(Usability Methods Planner Tool)をPoster発表で紹介していました。

今回の参加は、私にとって今までで最も記念すべき年になりました。と言いますのも、UPA Japan(日本支部)設立などの活動が認められ、UPA Service Award を 受賞したからです。UXエバンジェリストとして活動を進めていく上で励みになります。本Blogでも、UPA関連の情報を随時取り上げつつ、世界のUXコミュニティに関する情報をご提供していきたいと思います。